まるせい果樹園 佐藤 清一 さん

これから歩む10年に、どのような自分を思い描きますか?
このコーナーは、同じ時代を生きるふくしまの仲間たちを紹介するインタビュー企画。これまでの歩みや、10年後の自分へ向けての希望やエールを語っていただきました!実際に思いを綴ったタイムレターは、ふくラボ!がお預かりして未来へ届けてまいります。

今回の宛先は

まるせい果樹園 佐藤 清一 さん

まるせい果樹園佐藤 清一さん

1970年生まれ。「日本語上手いね!」と日本人の方から冗談を言われるほど外人顔ですが、生まれも育ちも福島市です(笑)!

直売所のきっかけは、お客様との関わり。

ふくラボ!:佐藤家は代々果樹園をされていたのですか?

佐藤さん:最初は養蚕だったそうですが、果物は私の曾祖父から育て始めたと聞いています。当時は市場やお店に卸す流通販売のみでした。

ふくラボ!:直売所などを始めたきっかけは何ですか?

佐藤さん:お客様との関わりをもっと増やしたいと思ったんです。それで、父と直売所の運営や果物狩りを始めました。最初はテントの直売所でしたが、取り扱う果物も増やしてパイプハウスになり、店舗を構え増築して現在の形になりました。

ふくラボ!:順調に拡大されていったのですね。

佐藤さん:はい。でも、観光のお客様も増え始め順調になってきた矢先に東日本大震災が起きたんです。お客様は、一時的に10分の1以下に減ってしまいました。風評被害もあって厳しい状況となり、農業を辞めようかという話も出ましたが「ここで悩んで止まっていても仕方がない」と思い立ち、再開に向けて動き始めたんです。

ふくラボ!:実際に、どういったことに取り組まれたのですか?

佐藤さん:まずは育てた果物を検査しました。結果は特に問題もなく「じゃあ自信をもってやっていこう!」という気持ちになりました。そんなとき、東京や大阪など全国各地の復興イベントなどに招待していただき、そのすべてに参加するつもりで日本中を飛び回っていました。震災後1年目は日帰りや泊まりを合わせて、30カ所くらいは行かせていただきました。

ふくラボ!:県外の方の反応はいかがでしたか?

佐藤さん:遠くから見ても分かるように、のぼりや看板に「福島」と書いていたので「福島から来たの?」と言われるとドキッとすることもありました。でも福島県にゆかりがある方を中心に、励ましていただいたり応援していただいたりして・・・。自分自身が不安だった中で温かく迎え入れていただき、本当にありがたかったです。

満足せず前向きに。最高のスタッフとともに。

佐藤さん:震災当時はショックを受けましたが、事業を再開するんなら震災前に戻るのだけでなく、震災前をはるかに超えてやろうと考えていました。お客様も少しずつ増えてきており、いまでは震災前を超えることができるようになりました。

ふくラボ!:それは素晴らしいですね!

佐藤さん:ありがたいです。でも、現状に満足している訳ではないんですよ。目指しているのは、皆様に笑顔になっていただける果樹園。多くの方は、食べた物がおいしいと笑顔になると思います。でもそれだけでなく、この場所で癒されてスタッフと楽しく話して「また来たい」「また会いたい」と思ってもらえるように、最高のスタッフたちと頑張っているんです。定期的に来ていただくお客様には「せいちゃん、また来たよ!」と声を掛けていただいたりすることもあります。そうした人のつながりが増えることはとても素敵なことだと思いますし、話してくれたり笑ってくれたりするとこちらも幸せな気持ちになります。私自身は口下手なんですけどね(笑)。

ふくラボ!:全然そんなことはないですよ(笑)!

佐藤さん:食を通じたテーマパークのような果樹園にしたいとも思っています。果樹園の敷地は9ヘクタールほどの広さなのでくだもの狩りにはゴルフカートを使うこともあるのですが、その際も「オープンカーで参ります」などと笑いを取ったりしています。家族連れでいらしたお客様の場合、お子さんが楽しんでくれますし、最初乗り気ではなかったお父さんも最終的にノリノリで楽しんでくれます(笑)。

ふくラボ!:楽しい要素が散りばめられていますね!

佐藤さん:笑顔って本当に大切ですから。楽しく笑って過ごしていただけるのが一番だと思います。そのために、ひとつひとつ考えて工夫しています。

ふくラボ!:まるせい果樹園さんでは、フルーツパフェも人気ですよね!

佐藤さん:ありがとうございます。最近は若い方たちを中心に果物離れの動きがあるようですが、彼らにもっと果物を食べてもらいたくて作ってみたんです。それぞれの果物が一番おいしい時期に、このパフェを食べてほしいです。果物が苦手な方は好きに、好きな方はもっと好きになってもらえたら嬉しいです。

ふくラボ!:旬の時期を逃さないことが大切なんですね。

佐藤さん:そうなんです。味も風味も本当に変わってしまうんですよ。だから栽培に関してはすごく真面目です。正直に、真剣に取り組んでいます。笑顔が大切と言いましたが、栽培管理などで笑っていることはないなぁ(笑)。みんなで勉強しながら、ひとつひとつ丁寧に育てています。

ふくしまの代表になる覚悟と責任を持って、さらによい物を。

ふくラボ!:10年後の自分は、どうなっていたいですか?

佐藤さん:当たり前かもしれないけど「おいしい」「楽しい」「行ってよかった」「また行きたい」と思ってもらうことが大切だと思います。そうした、クチコミが広まっていけば、ふくしまの食材を不安視している方にもその声が届くかもしれない。そうすれば、口にするきっかけにもなるかもしれない。そう思って日々栽培に取り組んでいます。

ふくラボ!:そうですね。一度は食べてほしいですね。

佐藤さん:そのためには、やっぱりおいしい果物と楽しい環境が必要。まるせい果樹園に来てよかったと言ってもらえることは、ふくしまに来てよかったと言ってもらうことと同じだと思うんですよ。逆に言えば、まるせい果樹園に来て悪かったと思われれば、ふくしまに来て悪かったと思われてしまうということ。いつもふくしまの代表という自覚と責任を持ってやらせてもらっています。将来的には「ふくしまに行きたい」「ふくしまが好きだ」と言っていただき、多くの方に福島のファンになっていただくことが私の夢です!

ふくラボ!:ふくしま愛にあふれる素敵なお話をありがとうございました!

10年後の佐藤さんへ ふくラボ!がお手紙をお預かりしました!

編集後記

終始、笑顔の大切さについて話されていた佐藤さん。明るい笑顔は、まるで周りをまばゆく照らす太陽のようでした!その明るいオーラが果物にも伝わり、甘くておいしいフルーツになるのでしょう。笑顔が生まれる果樹園はふくしまの誇りです!ありがとうございました!

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